フォードのイメージ

アメリカンマッスルを象徴するフォードの存在感

フォードは、アメリカンスポーツカーを語るうえで外せない存在だ。特にフォード・マスタングは、その象徴ともいえる存在であり、1964年の初代モデル以来、マッスルカーの代表格として長年支持を集めてきた。ボディは大型で直線的なフォルムを持ち、V8エンジンによる迫力の加速感が魅力とされてきた。

フォードのスポーツカーはただ速いだけではない。アメリカ車ならではの存在感と、重厚で力強い走りが特徴である。たとえばマスタングの最新モデルでは、レトロな雰囲気を残しながらもLEDライトやアグレッシブなフロントフェイスを採用し、現代的な印象を持たせている。

また、フォードはモータースポーツとの関わりも深い。かつてル・マン24時間レースでフェラーリを打ち負かした「GT40」の存在は、今なお語り継がれており、近年ではそのスピリットを継承した「フォードGT」も復活して話題を呼んだ。こうしたレーシングDNAが、市販モデルの中にも息づいている点も見逃せない。

スペックから見るフォード・マスタングの進化

現在のマスタングには複数のグレードが用意されており、2.3L直列4気筒エコブーストから、5.0L V8エンジンを搭載したGTまでラインアップが豊富である。エコブーストモデルはターボの恩恵で環境性能と加速を両立しており、扱いやすさにも優れている。

一方、GTグレードでは最大出力450ps超を誇る自然吸気V8エンジンが搭載されており、まさに“らしさ”が凝縮された仕様となっている。0-100km/h加速は4秒台と高性能でありながら、マニュアルトランスミッションの選択も可能となっている点が、走りにこだわるユーザーからの評価を高めている。

足回りに関しても進化しており、従来は直線番長とも評されていたマスタングだが、現行モデルではマグネライドダンパーや電子制御式LSDの採用により、ワインディングでも安心して走れる特性へと変化している。サーキットを意識した「マッハ1」や「ダークホース」などの派生モデルも登場し、欧州車にも引けを取らない走りを実現している点が注目に値する。

デザインだけでなく中身も着実に進化を遂げていることは、現行モデルを試乗した多くのレビューからも明らかであり、単なる懐古的な車ではなく、現代のスポーツカー市場でも通用する一台となっている。

維持性と実用面から見るフォードのリアルな姿

フォード・マスタングは、スポーツカーとしては比較的コストパフォーマンスに優れたモデルである。たとえばエコブースト仕様では、日本国内でも維持しやすい燃費性能と価格帯を実現しており、入門スポーツカーとしての選択肢にもなり得る。

5.0L V8モデルでは当然ながら燃費や重量税は高くなるが、それでも輸入V8車としては部品の供給や整備性が良く、アフターパーツも豊富であるため、維持に困るケースは少ない。並行輸入や中古市場も活況で、比較的手ごろに手に入れられる点も魅力だ。

また、全長は4800mmを超える大型車ではあるが、トランク容量が広く、2+2シート配置で後席も非常時には活用できる。左ハンドルに加え右ハンドル仕様も存在し、日本国内でも実用性は十分といえる。最近ではApple CarPlay対応のインフォテインメントシステムやアクティブセーフティ機能も標準化されており、古典的なスタイルと先進装備を両立している点も、近年のマスタングの強みである。

走りを楽しみつつ、日常でも使えるアメリカンスポーツカー。それが今のフォード・マスタングの姿である。