ル・マン24時間耐久レース2023で、フランスのスポーツカーコンストラクターであるリジェ・オートモーティブが意欲的なモデルを発表した。
リジェ「JS2 RH2」と名付けられたモデルは水素エンジンを搭載したスポーツカーだ。
リジェ「JS2 RH2」が登場した経緯
ベースモデルは「JS2 R」で、水素を燃料とする3リッターV6ツインターボエンジンは最高出力571psを発生するそうだ。
「レーシングカーと特殊車両のメーカーとして、モータースポーツと高性能車に新たな発展の道を提供すべく、明日の課題に対応するイノベーションを提供しなければならない」と、リジェ・オートモーティブ社長のジャック・ニコレ氏はコメントしている。
ル・マン24時間で水素エンジンのカテゴリーが創設
ル・マン24時間では2017年よりゼロ・ミッションクラスを追加するためにワーキンググループを創立。そして2026年から水素エンジンのカテゴリーを創設されることが発表された。
車の耐久性を証明するための舞台だったル・マン24時間レースだが、徐々に効率性が争われるようになり、2026年にはゼロミッション車の性能を競われるようになるのだ。
この流れは車の進化やトレンドの変遷とリンクしており、非常に興味深い。
水素エンジンカローラがスーパー耐久富士24時間レースに参戦
トヨタは「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2023 第2戦 NAPAC 富士 SUPER TEC24時間レース」にて液体水素を燃料とした水素エンジンカローラ(#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept)で参戦した。
これは液体水素を燃料とした車両でのレース参戦は世界初となる。
当初は2023年3月18・19日に開催された「第1戦 SUZUKA S耐5時間レース」で、参戦する予定だったがマシントラブルによる火災で断念。
欠場から約2カ月間、安全性優先の設計を行い、結果的に重量を50kg以上軽量化することに成功している。
参戦する富士SUPER TEC 24時間レースでは、海外の技術者も多く訪れており、世界中から注目されているのだ。
結果は見事に完走している。
水素エンジンの特徴とは
水素エンジンはガソリン・エンジンの燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させるものだ。
水素エンジンを搭載した車両は、走行時にCO2を発生せず、燃焼によって排出されるのは主に水蒸気。これにより、環境に対する負荷を軽減し、クリーンな走行が可能といわれている。
課題として水素は高い可燃性を持つため、適切な安全対策が必要である。水素エンジン車は高圧水素タンクの耐圧性や漏れの防止など、安全性に配慮した設計が行われている。